西上紀江子(山形市)


私は、1994年に山形に移り住んで以来、「認定NPO法人IVY」という団体で、外国出身の方々や多くの仲間とともに、多文化共生社会を目指して活動してきました。その仲間の一人が、佐藤稔さんです。1985年以降、山形県内の各自治体は、地域の生き残りをかけて国際結婚に舵を切りました。私が来県当初は、まだ10年足らずしか経っておらず、移住女性達を迎えた家庭や地域に様々な葛藤が生まれていました。

IVYは、移住された方々(1世)の立場に立って、支援活動を行ってきましたが、時を経て、今は移民2世、つまり子どもたちの時代を迎えました。

県内のほとんどの小中学校に国際結婚2世のこどもがいます。しかし、人々の意識が現実に追いついていない地域も多く、子どもたちが、親の出自を誇りを持って話せる環境はまだまだ整っていません。そこで、そんな子どもたちと学校以外の場所で触れあうために、始めたのが地域食堂「楽」です。

実際始めてみると、日本人対外国人というよりは、ひとり親、障がい、独居、高齢者、孤立などたくさんのキーワードが見えてきました。

そして、多くの「貧困」は「つながりの貧困」から生まれていることも実感するようになりました。

今回、HUG shield「つながるための盾」で、つながりを断つことなく、子どもたちを支援し続けたいという思いに賛同し、参加しました。

顔を合わせ、声を掛け合う場を一回一回積み重ねていくことで、子どもたちの人生を応援したいと思います。


■山形てのひら支援ネットとは

「山形てのひら支援ネット」は、「食で育む 子どもの居場所&大人の語り場」をつくろうと、2015年4月に会員14名で発足しました。その年の秋より誰でも参加できる「たまりばカフェ」を、2016年7月には子ども食堂『楽』(2018年度より「地域食堂『楽』」)の運営を始めました。資金調達、メニュー作り、食材の提供元として企業や個人、地域とどのように繋がるか、またどのように繋がり先を広げるか、子どもや保護者との関わりなど、今以て試行錯誤の繰り返しですが、仲間と議論し、参加者に教えられて、歩みを進めています。  

 

■地域食堂「楽」

私たちの食堂には、様々な困難を抱えた子どもや高齢者が通っていますが、よくよく考えてみれば、どの人にとっても生きることは容易なことではありません。どの一人も生きづらさを抱えながら生きていることに敬意を払いつつ、みんなで食卓を囲み楽しいひとときを過ごすことを目的に活動しています




■つながるための盾

4年間、一歩ずつ子どもや地域と交流を深めてきましたが、コロナウイルスの影響で2月末から活動を休止する回も増えてきました。食材を配布する活動に切り替えることも考えましたが、やはり僅かな時間でも子どもや高齢者の方々のお顔を拝見し、食事をともにできる時間を設けたいと考えています。

同じような思いでいる子ども食堂、学習支援団体はたくさんあると思います。家庭の中で、子どもと親だけで煮詰まることがないよう、子どもの居場所を月数回でも確保したい!

もう一度つながりあうために、応援してください。